暴飲暴食
「気付けば正月が過ぎていたなんて、俺の妄想ですよね」
イルカは遠い目をしながら、自分の言葉を肯定するように頷く。
「あんだけ食っちゃ寝してたのに、まだ足りないんですか?」
呆れたようにカカシが言った。
「失礼な! 惰眠を貪りたいと願っていると何故分かったんですか!」
「失礼なところが行方不明です」
「俺の代わりに失踪届けを出しておいてください」
「分かりました。明日、なんかアレなところに届け出ておきますね」
「嫌なあしらわれ方をした!」
「むしろ、わけわかんない会話に、これだけ付き合った俺を褒めて欲しいくらいですよ?」
「一の努力を十くらいに言ってしまう方って、いらっしゃいますよね」
「俺ではありませんけどね」
「図々しいな!」
「失礼だな!」
「あっ、失礼が戻ってきましたので、お祝いしましょう」
「惰眠から暴飲暴食にシフトチェンジを図ろうとせんでください」
「あったら飲むくせに」
「まぁ飲みますけどね」
「勝手に飲まないでください!」
「そこは『じゃあ酒盛り始めますか』の流れだろうが!」
「流れは断ち切るものです」
「やかましい、俺は飲む!」
結局家に大量にあった酒を飲み干し、さらに追加で購入しに行き、イルカ宅からは夜更けまで奇怪な笑い声がしていたそうな。
隣人がそれを聞きながら恐怖でガタガタ震えていたのは、また別のお話。
2015.1.7
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