セッション 

「綺麗な音色の鈴をもらったんですよ」

イルカが緑の鈴を取り出し、右手を揺らして鳴らしてみせる。澄んだ音が辺りに響いた。

「風鈴みたいな音がしますね」

カカシがそう言って耳を傾ける。

イルカはそれを見て微笑んだ。左手には四つの鈴が握られている。

「というわけで、セッションスタート!」

「やかましいわ!」

赴くままに手と、何故か頭を振っていたイルカがピタリと止まる。

「全部音が違うんですよ?」

「だからどうした」

「ゆえに、セッションスタート!」

「すんなー!」

再び動きを止めたイルカが怪訝そうに訊ねる。

「風鈴みたいで風流でしょ?」

「あんたが鳴らさなきゃな」

「まさか風流を解しない方ですか?」

「解する前提を先ほど申し上げましたよ」

「自分で鳴らしたい派でしたか」

「九割ほど間違いです」

言いながらも、カカシは鈴を一つ受け取った。

綺麗な音色だったと思う。

イルカが邪魔をしなければ。

「やはりセッションと言うからには、一人じゃない方が楽しいですね!」

目の前で頭を振るイルカを見ながら、カカシは静かに鈴を鳴らした。

イルカはまだ頭を振っている。

先ほどの鈴が戦闘開始の合図だとも知らずに──


2014.10.7

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