異能
「里の人々を見ていて気付いたんですが」 イルカが突然、そう切り出した。カカシは頷いて先を促す。 「服装が全体的に黒っぽいんですよ。まだ寒いから? 太陽の熱を集めたいの!?」 「気分の問題だと思いますが」 「つまり心の闇を反映していると」 「聞いてる方が恥ずかしくなる表現やめて」 「闇とか聖とか異能とか言うと、すぐそういう受け取り方をするのは、よくありませんよ?」 「日常会話で使う単語じゃないと、なぜ気付けない」 「少なくとも異能は使うでしょう」 「一番可能性のないものをチョイスするなんて、つまらない男になりましたね」 イルカはカッと目を見開き、そして震え出す。 「使うでしょう!?」 「使っちゃってんの!?」 「恥ずかしくて明日から職場行けない系!?」 「存在自体がすでにアレだから、行けばいい系」 「言葉が乱れてますよ、カカシ先生」 「お前にだけは言われたくないなどという王道な突っ込みをさせんでください」 「しなければいいだけの話です」 「なぜあなたは毎度毎度俺にだけ我慢を強いるのか」 「あなたって、本当に感情のコントロールが以下略」 「手を抜きすぎだろ」 「……我慢している風には見えないんですけど」 「……本当だ」 お互い様だと笑い合った数分後、再びギスギスした空気になるのだが、それはまた別のお話。 2014.3.19 |