トマト

「カカシ先生、焼トマトはダイエットにいいそうですよ」

イルカがグリルで焼いたトマトをオカズに加える。

「なにその、俺が酷い体型してるみたいな流れ。体重増えてないですよ」

「本当ですか? あれを食べて体重増えてないとか、どっか体が悪いんじゃ……」

「あれだけ、じゃなくて『あれを食べて』かよ。何食わしたんだよ」

「知りたければ俺を倒して……しまうと何も訊けなくなるので、媚びへつらって下さい」

「拷問は得意です」

「力に頼るのは如何なものかと思いますよ、大人として」

「媚びさせるのは大人のすることなのかと問いたい」

「虚栄にまみれた小物の得意技じゃありませんか。あれ? 言ってて涙が出てきたよ!?」

「聞いている方が辛くなるから、もう止めてください」

「カカシ先生にダメージを与えるチャンス!」

「本人にも大ダメージとか、どんだけマゾなんだよ」

「まだ快感に変わってないあたり、真性ではないと思います」

「目覚めかけと言えなくもない」

「……拷問されて開花したらどうしよう!」

「むしろ、してみやがれ!」

イルカは、臨戦態勢に入ったカカシを止める。

「食事が冷めるので早く食べてください」

「あっ、はい。いただきます」

二人は静かに夕食をとった。

その後、風呂に入り、酒を少々飲んでから寝る。

――また誤魔化された!

布団の中で我に返ったカカシであったが、面倒なのでそのまま寝ることにした。

だって、なにを食べさせられたかを聞くのが怖いから。

これは、案外チキンなカカシの物語。


2013.8.14

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