二次会
「知り合いが結婚することになりまして」 言いながら、イルカは押し入れに頭を突っ込んでゴソゴソしている。 「なにか探してるんですか?」 日頃から掃除しないから……と思いつつ、カカシが訊ねる。 「二次会に呼ばれたんで、何か思い出の品でも出してサプライズ、ってな企画が持ち上がったんですよ」 「なるほど」 「脅せるものないかなぁ」 「ちょっと待て」 イルカはピタリと動きを止める。そして10秒後に再び動き出した。 「おあずけくらった犬か、あんたは。っつーか、勝手に動き出さないだけ犬の方が賢いわ!」 「失礼な、犬っていうのは無茶苦茶賢いんですよ? 俺なんかと比べるなんて失礼きわまりない」 「あっ……うん、もっと自分に自信持っても良いんじゃないですかね」 「で、何用ですか?」 イルカは押し入れから頭を出した。 「感動するものを探してあげてください」 「幸せな人間に、さらなる幸せアイテムを見せてどうするんですか。サプライズになりませんよ」 「インパクト重視の話ではないと思いますが。っつーか祝う気ねぇだろ」 「祝う気はありますけど、結果が伴わなかっただけじゃありませんか」 「時間軸があきらかにおかしいですよ」 「俺の部屋、最近時空に歪みが生じて、よく時間軸がズレるんです」 「真顔であんた……」 「微笑むと誰かが惚れてしまうかもしれないんで」 「発言に焦点をあててんですよ。その辺の雀にでも求愛されてろ」 「みんなが俺を取り合ってるところで一網打尽ですね?」 「容赦ねぇな、おい」 「それにしても、いいものないなぁ」 「あんたが5分間好きなようにスピーチでもすりゃ、大概サプライズになるんじゃありませんかね」 「つまり、愉快なエピソードを語るだけで、物証はなくとも大混乱ってことですか」 「二次会を連想させるワードが、どこにも見当たらねぇですよ」 「それもまたよし」 「何一つよくなかった!」 素敵な二次会になったのかは、参加者のみぞ知る。 2011.1.25 |