キング
「カカシ先生、今帰りですか?」 呼ばれて振り替えると、【蛙がいっぱい蛙王国・蛙屋】というバカデカイ看板をもったイルカがいた。 「なにそれ」 「行きつけの店が商売やめるというので、記念に看板もらってきました」 「どこ通ってんですか、あんた」 「10回通うと蛙ナイト、50回通うと蛙キングの称号をもらえる茶店です。もちろん俺は蛙キングでした」 「訊いてねぇよ。っつーか茶店かよ」 「蛙は一匹もいないんですがね」 「看板に偽りありじゃねぇですか」 「代わりに、客が蛙を模した被り物を着用するんです。ちなみにキングは王冠付きです」 「うん、その情報は不必要なので、俺の脳内メモリから消去しますね」 「刻み込んでください」 「そんなクソデータに頭の容量は割けませんよ?」 「いつか役に立つかもしれないじゃないですか!」 「どんなシチュエーションなのか、皆目見当がつきません」 「つまらない人ですね。まぁいいです。ではカカシ先生の家に行きますか」 「ちょっ、その看板を置いて帰る気だろ! なに当然の流れみたいに言っちゃってんですか!?」 「たまにはカカシ先生の家で飲むのもいいかと思いまして」 「酔ったフリして置いて帰る気、満々じゃねぇですか!」 「ちっ、こんな時だけ勘が働きやがる」 イルカは忌々しげに呟いた。 「仕方がないので、家で祀ることにしましょう」 お祈りを強要されそうなので、明日からしばらくイルカ宅には近づかないでおこうと思ったカカシがいたそうな。 後日、ふと茶店に立ち寄ろうとしたカカシは、看板に【鰻がいっぱい鰻王国・鰻屋】と書かれていたので別の店にしたそうだが、それはまた別のお話。 2010.06.14 |