占い

カカシがイルカの家に行くと、なぜか室内は薄暗く、家主は紫のベールをかぶりながら、汗だくで訊いてきた。

「なにか悩みごとはありませんか?」

「胡散臭い人間を目にした時、人はどう行動すればいいのか、ちょうど悩んでいたところです」

「では占ってあげましょう」

イルカはいそいそと怪しいカードを用意しだした。

「悩み度合いがアップするので遠慮します」

「遠慮なさらずに、聞くだけなら損もしないでしょう」

「俺の人生の貴重な十分が失われようとしているのは、損とは言わないんでしょうか?」

「言いません」

「言い切ったよ、この人」

諦めたカカシは、静かにイルカの前に座った。

「それにしても暑いですね。イルカ先生、よく分かんない布まで被ってるから汗だくじゃないですか」

「高貴な人は汗かかないそうですよ。だから俺は汗などかかないのです!」

「自分の顔面拭ってみてから言わんか」

「それはできない相談ですね」

「なぜできないのか皆目見当もつきませんが、まぁ……苦しめばいいと思います」

「汗が目に入ったぁぁぁぁ!」

目を押さえて悲鳴にも似た声を出すイルカを、カカシは黙って観察していた。

しばらくして痛みが引いたのか、イルカが静かになる。

「思った以上に塩気たっぷりで驚きました」

「ほら、早く占いだか何だか知りませんが、終わらせて楽になってください」

「胡散臭い人を見た時の行動ってやつですよね。っつーか、それ占いの対象にならないと思うんですよ。言うなれば、無視しろよ、みたいな感じです」

イルカは静かな声でそう言うと、ベールを脱いで汗を拭った。物凄くやる気を失った男の顔をしている。

カカシはあえて「あんた、それ占う気満々だったじゃねぇか」などと言ったりはしない。ようやく手に入れた平穏を堪能すべく、何事もなかったかのように電気を点け、寝転がって本を読み始めるカカシの姿がそこにあったそうな。

くつろぐカカシの逆立った髪の毛の間に、タロットカードをこれでもかという程挿してイルカが怒られたそうだが、それはまた別のお話。


2009.6.30

 

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