トランプ
イルカ宅で家主とカカシがジジ抜きをしていた。 「二人でジジ抜きしてもババ抜きと大差ないですよね」 引いたエースのカードを見つめながらカカシが呟く。 「そうですか? どのカードがジジか分からないじゃないですか」 「いやいやいや、俺が今引いたカードだよ、明らかに」 「このトランプ、何枚か紛失してるんで、エースだとは限りませんよ?」 「一生終わらねぇよ」 「一生遊び人でいるのが俺の夢です」 「知るか」 カカシは自分の持ち札を場に置いた。 「試合放棄ですね。敗者は敗者らしく敗者のようにタイヤキ買いに行ってきてください」 「道具に不備があったんで、この勝負は無効です」 「カカシ先生がトランプで買い出し決めようって言うから従ったのに……俺は弄ばれたんですね!?」 「黙れ、加害者」 「理由も聞かずに一方的に加害者扱いとは、感心しませんね」 「俺を納得させてくれるだけの理由がおありなら、どうぞ」 「このあいだ、トランプ飛ばしてキューリが切れるか試してたら、どっかいきました」 「納得させる気、はなから無かったでしょ」 「カカシ先生はこう仰りたいのでしょうね。『食べ物で遊ぶな』と」 「いや、別に」 「大丈夫です。見事に実験を成功させ、後でおいしくいただきました」 「訊いてねぇですよ」 「味噌をつけて口に含んだときの感動といったら……!」 「まだ続くのかよ」 遠くを見つめていたイルカが、ハッとした表情でカカシに焦点を合わせた。 「キューリと味噌もよろしく」 その後、財布を持たされ家から追い出されるイルカの姿があったそうな。 2008.2.13 |