暑い時には

部屋でダラダラ汗を流しながら、徐々に目が虚ろになっていく男が二人。

クーラーが壊れて、はや1時間。窓を開けても風は入ってこない。

カカシの家に行こうと提案したが、「俺、ここ半年くらい帰ってないから、多分……凄いよ」と返ってきた。あえて何が凄いのかは訊かないでおく。

「半年も寄生してたんですね、あんた」

「最終宿主はイルカ先生だから、うまい事共存していきましょうね」

「あんたと共存して花粉症から逃れられるなら、俺も大歓迎なんですがね」

「俺の扱い、寄生虫以下かよ」

「頑張って上を目指してください」

「ハードルが高いんだか低いんだか……。それにしても暑いですね」

うちわであおぎながらカカシが呟く。イルカは半眼でカカシを睨んだ。

「わかり切った事を口にされると、不快指数が上がるんだと今知りました」

「俺は前から知ってました」

「ほほぅ、俺に対する挑戦ですか」

「暑いから暴れるのは止めておきましょう」

「本来なら暑かろうが暑くなかろうが、暴れないもんなんですがね」

「イルカ先生、暑いと案外まともな人間ですね」

「あぁ、相手する元気もない……」

イルカは床に突っ伏した。

「……カカシ先生、夜は我慢大会も兼ねて、鍋でもしますか」

「SなのかMなのか判断難しいな、おい」

「何鍋をご希望ですか?」

「……モツ」

「俺、素麺食って、食後に水風呂入るんで、一人でモツをたらふく食ってください」

「さぁて、イルカ先生の分も作るか」

「食べ物を無駄にできない質な俺への嫌がらせですか!?」

「冗談ですよ。っつーか作らねぇよ、このくそ暑いのに」

「じゃあ素麺よろしく」

しばしの沈黙。

ポツリと呟いたのはカカシ。

「モツ鍋なら作ってあげます」

「俺もモツ鍋なら作りますよ」

二人は一歩も引かなかった。

一歩も引かなかったが故に、二人でモツ鍋を作った。

これは暑さで頭がやられた愚かな二人の男の物語。


2007.09.03

 

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