帰り道

「あー、すげぇ不気味な物体でも空から降ってこないですかねぇ」

「振ってこられてたまるか」

イルカとカカシは家を目指して歩いていた。仕事で疲れた体を綺麗な夕日が癒してくれるわけもなく、そして特別変わったことがあるわけでもなく、つまりはいつも通りの光景だった。

「ほら、ここで一つ恐怖体験でもあったら、吊り橋効果で俺のカカシ先生に対する感情も変わるかもしれませんよ?」

「今現在のあんたと俺の関係が見えないんですが」

「ドキドキ恋のトライアングル」

「3人目誰だよ」

「お望みなら、そのへんの誰かを引っ張ってきますが」

「そのへんの誰かに迷惑がかかるから止めなさい」

「止めろと言われると、反発したくなるのが人情!」

イルカはダッシュでその場を去った。制止する時間すら与えず姿を消す。

そして一分後に戻ってきた。

とりあえず、イルカが人を小脇に抱えて帰ってこなかったので安心する。代わり……なのか、手のひらにカタツムリがのっかっていた。

「3人目です!」

「人外だろうが」

「誰も歩いていなかったもんで」

「いない時点で諦めろよ」

「惚れやがれ!」

「無茶てんこ盛りだろうが!」

イルカは手の中のカタツムリを見つめた。

「やはりこいつと何かしらの危険を共にせねば勘違いもできないと」

「次元が違うとなぜ気付けない」

「気付きたくないからです!」

「おもっくそ気付いてるだろうが!」

「可哀相に、連れてこられてすぐに用済みか」

カタツムリを街道脇に生えた草の上にそっとのせる。

「必要もないのに連れてきただけでしょうに」

「カカシ先生と季節を感じようかな、なんて思ったんですけどね」

「付け足し止めてください」

「やはりバレましたか」

「やっぱり付け足しかよ」

二人はこうして本当に帰途に着いた。

空から何かが降ってくるわけもなく、いろんな意味でいつも通りの光景だったそうな。


2007.04.24

 

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