食後の風景

ダラダラと夕食後の時間を過ごす男が二人。

とくに何をするでもなく、突っ伏していた。

「カレーの後に丼ものは殺人的でしたね」

ゲフリとイルカが返事した。

「普通に考えても、献立おかしいですよね」

ゲフリとイルカが返事した。

「腹、重いですね」

ゲフリと(以下略)

「会話しようよ!」

「……黙れ、出る」

「出すな」

「我儘で……」

言葉が途中で切れる。カカシは次の言葉を待った。

「……」

「……」

「急に静かにならないで!」

カカシは悲鳴にも似た声を発した。が、返事はない。相手の反応は3分程遅れてやってきた。

「……一瞬ホワイトアウトしかけました」

「完全にしてたよ」

「カカシ先生、元気ですね」

「ちょっと顔上げれば分かると思いますが、俺も倒れてますよ」

「とどめを刺すには絶好のチャンスですね」

「こんなシチュエーションで倒して満足なのかと問いたいところではありますが」

「美学で飯を食う職業ではないので、やはりチャンスだと思います……とぅ!」

イルカは声のする方目掛けて転がり始めた。カカシが拳を握り、腕を真横に伸ばす。その上を通過してカカシ本体に攻撃を仕掛けようとしたイルカだったが、拳が丁度良い具合に胃を刺激したらしく、突っ伏したまま動かなくなった。

「重いです」

返事はない。

カカシがそっと横を見る。白目を剥いたイルカがそこにいた。

――出なくて良かった

詰まった感のある腹の下敷きになった手に痺れを感じ始めながら、カカシは本気でそう思ったのだった。


2007.04.06

 

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