みかん
コタツにもぐりこみながら、イルカはみかんを剥いていた。 「カカシ先生、正月どうするんですか?」 「仕事です」 「それ以上老けるつもりですか!?」 イルカの手の中でみかんが潰れた。 「失礼きわまりねぇな、おい」 「ただでさえ老けているというのに!」 「働きすぎて白髪になってますよ、とでも騒ぐつもりですか?」 同じくみかんを剥きながら言うカカシに、イルカは冷笑を浮かべた。 「そんな使い古されてそうで、かつ面白くもない事を叫んだりしません」 「使い古されてたら、俺、里でとんだいじめられっこですね。けっこういい年なのに」 「恥ずかしいですね」 「恥ずかしくはねぇですよ」 「そんな哀れなカカシ先生にみかんをあげましょう」 「さっきから話が繋がってないんですが、っつーか、そんな原型とどめてないみかんは結構です。自分で食べなさい」 「剥いてさしあげましょう」 「剥く前に中身が飛び出てますよ」 「みかん作りに携わった方の芸術作品です」 「明らかに消費者の手が加わってるだろうが」 「共同作業による逸品をあなたに」 「もう、なにがなんだか……」 毎度の事なのでカカシは無視する事にした。 「ところで、イルカ先生は正月なにかするんですか? もしや俺と初詣とか考えてた?」 「寝正月です」 「……知ってたよ」 とりあえず、潰れたみかんはイルカが食べたそうな。 2006.12.20 |