手袋
「カカシ先生、プレゼントです」 イルカは可愛らしいラッピングの施された袋を手渡した。 「別に今日、誕生日でもなんでもないんですが、もらっちゃっていいんですか?」 言いながらカカシは袋を開けた。中には灰色のゴツい手袋が入っていた。 「……渡す季節をお間違えのようで」 「母さんが夜なべをして編んだ手袋です」 「母さん呼んでこい」 「おかあさーん!」 沈黙が場を支配した。 「来ませんでした」 「来たらどうすんだよ。でもまぁ、今年の冬に使わせていただきます」 カカシは困りながらも嬉しそうに笑った。 「女にプレゼント貰ってそんなに嬉しいのかぁ!」 「あんたからのプレゼントじゃねぇのかよ!」 「俺が編み物なんて面倒なことするわけないでしょうが」 「まぁ冷静に考えればそうですね。っつーか手編みなんですか」 カカシは微妙な顔をした。 「お嫌でしたか? 頼まれたのを忘れてて、さっき『あれ渡してくれた?』と訊かれて正直に答えたら『さっさと渡してこい』と怒られまして」 「知らない人が編んだもんはねぇ」 「アスマ先生ですよ」 「髭が乱心したぁ!」 「冗談に決まってるでしょうが」 「分かりきった冗談に付き合ってあげたんだから感謝しなさい」 「おありがとうござぁい」 「そこまで嫌なら感謝の言葉を述べんでもよろしい」 「本当はアスマ先生に似た可愛らしい顔の同僚です」 「物陰からソッと盗み見てみたい衝動にかられますね」 「そんな彼女に物陰からソッと盗み見られているとも知らないで」 「怖いよ!」 結局カカシは、当の本人に会ってプレゼントを返した。 ついでに盗み見についても注意しておいた。 アスマに似ているのに、なぜか可愛らしい女性を前にして、カカシは襲いくる恐怖に打ち勝つため尽力したそうな。 2006.07.06 |