ミミズ

ある日、カカシが長期任務を終えてイルカの家に行くと、彼はミミズの養殖をしていた。

「何やってんですか、あんた」

「カカシ先生、ミミズって鳴くらしいですよ」

「鳴かねぇよ」

「鳴かないの!?」

「別のものの鳴き声を昔の人が勘違いしたらしいですよ。別のもんが何だったのかは忘れましたが」

「知識が中途半端ですねぇ」

「間違ってた奴に言われたかないセリフですね」

「それじゃあどうしましょう、このミミズ」

「釣りのエサにでもしてください」

「ここまで育てちゃうと愛着あるんですがねぇ」

イルカは顎に手をあててミミズを見つめた。

「食っちゃいましょうか」

「愛着どこいった!?」

「お山の向こうに捨ててきました」

「っつーか食うな。冗談だとしても発想が嫌すぎる」

「泥出してみりん干しにするとホタテっぽいですよ」

そう言ってイルカは七輪を探し始めた。

「長期の任務から帰ってきて、何が悲しゅうて里でそんなもん食わにゃならんのですか」

「ホタテっぽい」

「やかましい、ホタテくらい買えるだろうが!」

「この金持ちがー!」

「上忍金持ちで何悪い!」

「ホタテ食べたいんじゃー!」

叫ぶイルカにカカシは提案した。

「んじゃ、外に食べに行きますか」

「わーい」

数分後、ミミズは見知らぬ人が管理する野菜畑へと移された。

翌年に実った作物はたいそう美味かったらしいが、それはまた別のお話。


補足
・ミミズは鳴くと信じられていたため、歌女とも呼ばれていた。
・実はケラの鳴き声だったというのが有力な説である。
・ちなみにミミズに発声するための器官はないらしい。

2006.06.21

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