じゃんけん

「カカシ先生、喉乾きません?」

ゴロゴロと二人で寝そべっていた時の事、イルカは卓袱台の足を挟んで向かいにいるカカシに声をかけた。

「こりゃどうも。俺はアイスコーヒーがいいです」

「誰が給仕をやると言ったか!」

「あ……うん……言ってないよね。でもあんたの方が近いじゃないですか」

「遠い近いの問題ではありません!」

「三歩以内で冷蔵庫に辿り着くんだから……」

「遠い近いの問題ではなくなったと言ったはずです。もはやこれは男の戦い……むしろ『漢』の戦いなのです!」

「うん、コーヒーよろしくね」

「聞け、そこの上忍!」

「聞くのは聞いてますけど、聞き流してるだけです」

「もっと情熱的になってください!」

「何に対してだよ」

沈黙が訪れる。

「まぁそれは置いといて……」

イルカは片手をヒラリと振った。

「公平にじゃんけんで決めましょう」

「もう何でもいいですよ……」

カカシは諦めた様子で右手を握り上下に振った。それを見たイルカがリズムに乗って掛け声を口にする。

「それでは、じゃんけんぽん!」

カカシの出した手を確認し、イルカはカッと目を見開いた。

「最初はグーが基本だろうが!」

「チョキを出して負けたあんたが言うな!!」

すったもんだの挙句、結局負けた人がコーヒーを入れたという。


2006.06.02

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