部屋

「汚い」

「えらいえらい。自分の部屋が汚いと気付けてえらいですよ、イルカ先生」

「そんなもん、見りゃあ誰だって分かりますよ」

「昨日まで分からなかったから放置してたんですよね」

「見てみぬフリをしてただけです」

「現実見ろよ」

会話はそこで途切れた。

イルカは目を細めてゴミやら書類やらで埋め尽くされている部屋を見回す。

「見ました」

「うん、今のは俺が悪かったですね。掃除しろ」

顎に手をあて、イルカは思案した。そして口を開く。

「カカシ先生、物というのは長年使い続けると……」

「妖怪は廃棄処分されるために自分からゴミ袋入ってくれたりしませんよ」

「カカシ先生、すごいですね。まだ何も言ってないのに」

「当たってるあたり、感化されてきてんじゃないかと心配になりましたが」

「誇ってください」

「無意味だからやめときます」

「何事もやることに意義があるんですよ?」

「今は結果を出す事の方が重要だと思います」

「発想の転換をしましょう」

イルカはそう言って荷造りを始める。

「あなたは一体何をなさろうとしているんでしょうか」

カカシは半眼でその光景を眺めていた。

「俺、今日からカカシ先生のお宅の子という事で」

「俺の家をゴミ溜めにする気かよ」

「お望みとあらば」

「望んでないから来ないで」

「嫌よ嫌よも好きのうちです!」

「言葉というのは神聖なものですので、脳みそ通してから外界に発してください」

「それじゃあ行きましょうか」

「脳みそ通してから喋ってくださいと言ったばかりですが」

「通して咀嚼して、さらには言葉を選んでみました」

イルカの瞳が輝く。

カカシの目が澱む。

結局二人はカカシの家に向かった。

イルカはカカシの家の扉を開けると静かに呟いた。

「汚い」

「どっち掃除する?」

「俺ん家」

「でしょうね」

諦めたイルカはそこそこ綺麗に掃除をしたそうな。


2006.04.10

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