ケツ
それは真夜中のこと。 隣に寝ていたはずのイルカが上半身を起こし、唸っていた。 「どうかしましたか?」 声をかけてみる。 「少し気になることがありまして」 「俺でよければ相談にのりますよ」 イルカは眉間にシワを寄せて、真面目な口調で言った。 「アホが見るブタのケツ……これは誰が言い出したんでしょう」 「おやすみなさい」 「これは人を騙して嘲る場合に用いられる言葉ですが、何故ブタのケツなのか……」 「お願い、寝かせて」 「気になって眠れない俺を放って、あなた一人で夢の世界の住人になるおつもりですか?」 「付き合ってられるか」 イルカの目が「薄情者め」と言っている。しかし、カカシは無視を決めこんだ。 「ブタは何かと生物としても下等に扱われがちですが、それに関しても俺は不思議でしょうがない。何故でしょう。愛らしい鼻のせいでしょうか。まさかそんな……」 無視を決めこんだカカシを無視して、イルカはブツブツと自分の考えを口にした。嫌でも耳に入るので、カカシは仕方なく上半身を起こした。目を閉じたまま、頭をガリガリと掻く。 「農作業に使える牛や、卵を産む鶏に比べると、家畜として見劣りはしてしまいますね。一個人の意見ですけど。豚糞は有機肥料として良いそうですが、やっぱりイメージは良くないですね」 これで納得してくれと祈りながら、カカシは目を開けてイルカを見た。 布団に包まって寝ていた。 フッと微笑んだカカシは、重力に任せてイルカの胴体目掛けて倒れこんでみる。 隣の住人がイルカの短い悲鳴に飛び起きて、その後、変に目が冴えて眠れなかったそうだが、それはまた別のお話。 2005.09.11 |