研究の成果

イルカは溜息を吐きながら、寛いでいるカカシに話しかけた。

「暇なので不思議植物の栽培でも始めようかなって思うんですが」

「すれば?」

イルカは後ろの引き出しから米粒ほどの大きさの種を取り出し、素っ気無く言い放ったカカシに押し付けた。

「飲んでください」

「無茶言いなさんな」

「人の体内が一番育つとの研究報告が出されたんで、お願いします」

「自分で飲みなさい」

「嫌ですよ、気持ち悪い」

とりあえず、カカシはイルカの持っていた種を指で弾いた。種がどっかに飛んでいく。

「あぁ、俺の研究の結晶が!」

「あんた一体何者だよ」

「一応忍です」

「一応かい」

「時には研究者の皮を被ってみたりもしたり……忍として!」

「最後の言葉は付け足しくさいですねぇ」

「まぁ、とりあえず……」

イルカは拾った種に息を吹きかけ、埃を払うと「はい」と笑顔で差し出した。

「あぁ、しまった」

棒読みでそう言うと、カカシはイルカの手から種を弾き飛ばし、そのまま地面に倒れた。種を拳で潰す事は忘れない。

「ごめんなさい。粉々になっちゃいましたね」

「粉でお飲みになりたかったんなら、最初からそう言ってください」

「話の流れはちゃんと読んでください」

「液体もありますが」

「研究に頭使うよりも、まず人としてのコミュニケーションをはかれるように頑張ってください」

「カカシ先生は角を生やしたくないんですか!?」

「ちょっと待て、不思議『植物』って話はどこにいった!?」

「どっかいきました」

「あっさり言うなよ」

イルカは不機嫌な顔で立ち上がると「もういいです」と告げた。

「どっか行くんですか?」

「アスマ先生に飲んでもらいます」

「……いってらっしゃい」

カカシは手を振ってイルカを送り出した。

扉が閉まる前に、カカシが「今日の夕飯は俺が作っときますから、早く帰ってきてくださいね」と言うと、不機嫌な表情はそのままだったが、イルカは少し頬を染めて、「はい」と小さな声で返した。

カカシはその様子を見て、頬を緩める。

美味しい物を作っておいてあげよう。

扉の閉まる音を聞きながら、カカシはそう思ったのだった。


2005.06.29

close