おやつ

「イルカ先生、何食ってるんですか?」

「茶色くて甘いもんです」

「……チョコレート!?」

ちょっと声を荒げるカカシ。

「どうかしたんですか?」

「バレンタインに何もくれなかったですよねぇ」

「男にやってどうすんですか」

「欲しかったのに」

「自分が少し照れながらカカシ先生にチョコレートを渡す姿を想像すると、薄ら寒いもんがあります」

「いいじゃん、二人なんだし」

「俺、基本的に二人きりだからって甘いムードを醸し出されると……ひきますよ?」

カカシは意地の悪い顔で笑うと、コタツに入っているイルカを後ろから抱きしめた。

「抱きつかないでください。あっ……鳥肌たった」

「酷ぇ!! 俺の心は激しく傷付きました。慰めてください」

「じゃあ、コレどうぞ」

食べていた茶色の物体を差し出す。

「わーい、チョコレート」

一口齧り、カカシはダラリと脱力した。

「黒糖だよ」

「黒糖ですね」

「酷いぃ!」

「っつーか、口に入れる前に気付けよ」

カカシは「ごもっともで」と思いながらも、悔しいから泣くフリをしてみたが、無視された。

甘いムードには程遠い二人の話。


2005.02.21

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