慣れ

最近イルカは不満でいっぱいだった。

カカシがイルカの行動に慣れてきたからだ。ちょっとやそっとの事では驚きもしない。それどころか流す事もしばしばだ。

「芸人じゃないんだから、向上心なんてあるわけねぇ!」

いきなり叫んだイルカに、カカシはビクッとした。ドキドキしながら次の行動を待つ。

「……」

「……?」

「……だがしかし!」

「怖いよ、イルカ先生」

思い切って声をかけたカカシを睨みつけ、しばらくそうしていたかと思うと、イルカは頭をブンブンと振り回した。

カカシの驚いた顔を見るのが好きだ。だって面白いから。故に、要調査だ。

「あんた、俺が全身タイツで登場しても驚かないですよね」

「さすがに驚くと思いますよ。自信ないですけど」

「やってみりゃあ良かった!」

イルカは全身で後悔を表した。

もう手のつけようがない。

カカシはそう感じ始めていた。

「お……俺がハイヒール履いて、それとなく街に出たら?」

「驚く前に、とりあえず止めると思います」

「難しい! 難解すぎる!」

ガタガタと震えるイルカに尋ねた。

「あんた、いったい何がしたいんです?」

「カカシ先生のビックリする顔が見たくて」

「遠慮しても良いですか?」

「俺の芸人魂見せてやるぜ!」

「人の話を聞けぇ!」

「芸人なめるな!」

「いつ転職したんだ、あんた!」

答えは返ってこなかった。でも気にしない。だっていつもの事だから。

カカシはそう自分に言い聞かせたのだった。

それから数日間、イルカの不思議な行動に悩まされるカカシの姿があったらしいが、周りの者は巻き込まれるのを恐れて黙っていたそうな。

ある日、イルカの同僚がカカシに言った。

「はたけ上忍と付き合うようになってから、イルカ、変になりましたよ」

「あの人が変なのは生まれつきですよ」

濡れ衣だと言っても信じてもらえず、カカシは乾いた笑いを漏らしたのだった。


2005.01.16

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