「季節外れの蚊に食われました」

カカシがズボンをめくる。

「見せられても」

イルカは赤くなったカカシの足を見やり、再び本に視線を戻した。

「かーゆーいー!」

「ぎゃぁ! 俺の腕に足を擦り付けんな! スネ毛の感触がキモイ!」

「擦り付けるの止めるから、薬ください」

「爪で十字の痕でもつけなさいな」

「それ、嘘の民間療法」

「……え?」

イルカの目が大きく見開かれた。

「そ……それじゃあ、患部の周りを掻くのは?」

「それは患部を掻きたいけど、それじゃあいつまで経っても痒みが治まらないから、それを誤魔化すために周りを掻くだけ」

「二十ピー歳にして初めて知る真実」

「年齢伏せる目的が全く分からんのですが」

「微妙なお年頃ですから」

カカシは「はぁ」と曖昧な返事をした。

「っで、カカシ先生」

イルカはニッコリと笑って言った。

「喋ってたら痒いの忘れたでしょ?」

「あっ……」

カカシは自分のスネを見た。

──ボリボリボリ。

「掻くな!」

「あんたが思い出させたんだろうが!」

「普通ならそこで『本当だ、治った』って言うだろ? 話の流れ読めよ!」

「無茶言うな!」

カカシの足が、その後流血したのは言うまでもない。


2004.11.28

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