駄菓子
「カカシ先生、駄菓子を買ってきたんですが、いります?」 「ほほぉ、歯磨きチョコとか懐かしいですね」 カカシはハブラシ型の菓子の上にデロリとチョコを乗せて、歯を磨いた。 「カカシ先生、子供心いっぱいな食べ方しますね」 「楽しくて美味しい。これこそ真の贅沢です」 「安い贅沢」 「贅沢で思い出しました。イルカ先生、今度の休みに温泉行かない?」 「面倒だから却下」 イルカは練り飴をしつこく練り始めた。 「最初は楽しいけど、そのうち面倒になって、練らずに食べちゃうんですよね」 イルカの視線は飴に釘付けだ。 「そんじゃあ、俺は占いチョコを」 カカシはそう言ってプチプチ占いチョコを手に取った。小さな球体のチョコを押し出すと、アルミのシートに◎○△×が印字されているアレである。 「イルカ先生、ピクニック◎です! ピクニック行きましょう!」 「もっと面倒だから嫌」 まだまだ練る気満々のイルカの手は、グルグルと忙しなく回転している。 「んじゃ、どこなら行ってくれます?」 カカシはフルーツマンボを咥え、一気に中身を吸い込んだ。 「気色悪い食べ方しますね。普通吸えませんよ、それ」 「忍ですから」 「関係ねぇよ」 イルカの手が止まった。元はピンク色だったそれが、今では真っ白になっている。 「俺も大人になったな」 「ピンクの誘惑に負けなかっただけで大人なんですね」 「ええ、俺は初めて白を口にします」 どこかウットリした表情のイルカを見ながら、カカシはジュエルキャンディを指にはめ「あんたの大人の階段はきっとスロープ状ですね」と舐めながら言った。 「ところでイルカ先生、次の休みにどこか行きません?」 「それじゃあ近所の駄菓子屋巡りしましょうか」 「遠出は嫌いなんですか?」 「面倒です」 「あっそ」 この人、案外出不精なのね。 カカシはどんどん焼の袋を開け、ボール紙をクシャクシャとしながら「あっ当たり」と呟いたのだった。 2004.11.15 |