秘密

俺はカカシ先生の秘密を知っている。

正確には秘密の本だ。

彼はいかがわしい本の間にそれを隠し、誰にも悟られないようにしていた。

時折俺に隠れてそれを読むカカシ先生。表情はどこまでも真剣で、いつもは眠たげに辛うじて開いている瞳が、この時だけは見開かれるのだ。

いかがわしい本はカモフラージュに違いない。

そう直感した俺は、そこまでカカシ先生を真剣にさせる秘密の本の正体が知りたくなった。

彼の家にお邪魔して、無理やり買い物に行かせようとしたが「二人で行きましょうよ」とごねられたので、追い出した。邪魔者はいない。

俺は今、彼の全てを知ろうとしているのかもしれない緊張で、指が震えていた。

一冊ずつタイトルを確認しながら、脇にどける。

すると、山積みになっていた本の丁度真ん中で、ご丁寧にブックカバーがつけられた本を発見した。

我知らず、ゴクリと喉が鳴る。

今なお震えが止まらない指を叱咤し、俺はとうとう秘密の本を手にした。

動悸が激しくなり、息遣いも自然と荒くなる。

有名な忍びであるカカシ先生を虜にするほどの本を前にして、平静を保てという方が無茶な話だ。

俺は何度も深呼吸し、意を決して表紙をめくった。

 

『ムーミン』

 

イルカは静かに本を閉じたのだった。


2004.10.26

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